利用者の権利を守る法律知識

 
監修        
 

ひすい総合法律事務所 弁護士 原口 健(はらぐち けん)         

 

 高齢者の権利を守るために高齢者虐待防止法や成年後見制度などの法整備がなされています。ただ、法律が充実していても活用方法を押さえておかなければ、せっかくの法律も意味がありません。

 このコラムでは、利用者の権利を守る法律知識と題して、現場を任されるリーダーにも知っておいてほしい法律知識を解説していきます。より深い法律知識については、弊社書籍『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』でご覧いただけます。

 
第6回 悪質商法の被害にあってしまったら
 

 被害にあった方がいたら、「特定商取引法」などの定めるクーリング・オフ制度で救済できるケースかどうか検討しましょう。クーリング・オフ制度とは、訪問販売や電話勧誘といった、消費者にとっては不意打ちとも言える勧誘によりなされた申込みや契約について、一定期間内であれば、無条件かつ一方的に申込みを撤回したり契約を解除することのできる制度です。大きく以下の3つのポイントがありますので、確認してみましょう。

 

①どこでされた契約か(場所的要件)

ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像原則:営業所や代理店等以外の場所

 
 訪問販売や電話勧誘などで自宅に販売員が来て、不意打ち的に勧誘して申込みや契約をさせた場合。
 

ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像例外:営業所等であってもクーリング・おグの対象になる場合

1)営業所等以外の場所で呼びとめて営業所等に同行させた場合

例:キャッチセールスや催眠商法

2)商品販売の勧誘をする目的を告げずに営業所等への来訪を要請した場合

 例:アポイントメントセールス(目的隠匿型呼出販売)

3)他のものに比べて著しく有利な条件で購入できることを伝えて来訪を要請した場合

例:アポイントメントセールス(有利条件型呼出販売)

 不意打ちになる取引は、訪問販売のように業者が自宅に来るというのが代表的なものです。しかし、上記にあげたような状況で営業所に自分から行ってしまった場合でも、クーリング・オフの適用対象になります。

 

②どんな商品を買ったか(取引対象)

 生鮮食品やすでに使用してしまった化粧品などの消耗品、葬儀サービスといったクーリング・オフになじまない一部の商品・サービスを除けば、原則すべての商品・サービスの契約が救済対象になります。

 

③契約申込や契約締結の書面を受け取った日から8日以内(時間的要件)

 特定商取引法では、契約の申込みを受けたときは直ちに申込内容を記載した書面を交付するよう業者に義務付けています。その書面中には、クーリング・オフに関する事項も記載しなければならないとされています。

 業者から、上記のような書面を受け取っていない場合や、クーリング・オフ条項やその他の記載事項に欠落がある場合は、8日間という権利行使期間(クーリング・オフで解約できる期間)が開始されませんので、ずいぶん前の契約であっても、もう一度書面をもらったか、書面に記載漏れがないか確認してみましょう。

 まずは上記の要件を確認したうえで、消費生活センターなどにご相談されることをお勧めします。消費生活センターでは、問題が大きいと認められるケースについては直接業者とやりとりをしてもらえます。たとえ要件を満たさなかったとしても、業者との契約解除や適切な解決策について掛け合ってくれる場合がありますので、利用者や家族が悩んでいる場合、下記の連絡先を教えてあげると親切でしょう。

 

国民生活センターhttp://www.kokusen.go.jp/map/

全国統一番号の消費者ホットライン:☎0570-064-370


『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』について                                

 高齢者をめぐる契約に関する制度と成年後見制度についてトータルに解説した書。介護保険制度におけるサービスについては、モデル契約書を提示し、条文内容とポイントを詳説。消費者契約、金銭管理、介護保険以外の高齢者向けサービス契約、遺言等の各種契約に関して、具体的事例に基づいて解説。

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