利用者の権利を守る法律知識

  

 高齢者の権利を守るために高齢者虐待防止法や成年後見制度などの法整備がなされています。ただ、法律が充実していても活用方法を押さえておかなければ、せっかくの法律も意味がありません。

 このコラムでは、利用者の権利を守る法律知識と題して、現場を任されるリーダーにも知っておいてほしい法律知識を解説していきます。より深い法律知識については、弊社書籍『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』でご覧いただけます。

 

第10回 個人情報ってどこまでの情報をさすの?

 

 「個人情報」といったとき、みなさんはどのような情報をさしますか?人によって、イメージする情報は、さまざまではないでしょうか?思いつくだけでも、氏名、性別、生年月日、住所、携帯電話の番号、勤務場所、家族構成、指紋などの生体情報とたくさんあります。 

 ちなみに「個人情報保護法」でいう「個人情報」はというと、「生存する個人に関する情報で、氏名や生年月日、その他の記述等により特定の個人を認識することができるもの」と定義されています。

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 個人情報保護法は2003年に成立し、2005年から全面的に施行された法律です。この法律の成立背景には、コンピュータの利用が一般的になったことがあげられます。コンピュータで大量かつ迅速に処理することは、とても便利です。反面、情報を無制限に利用できるようになり、プライバシーに関わる内容が第三者に容易に知られてしまう危険が高まりました。

 プライバシー権の侵害は、いったん侵害されると回復が難しい点が特徴なので、侵害されることを予防する法制度が必要となったわけです。そのため、個人を認識できる情報(誰々のこととわかる情報)を「個人情報」として、法制度の整備が行われてきたという経緯があります。
 
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 誰しも知られたくない情報は1つや2つあると思います。そして、原則は「知られたくないことは秘密にしておいて良い」ということになります。

 しかし、介護の現場で考えてみましょう。高齢者の身体機能が低下すると、高齢者の日常生活に第三者の見守りや代行、介助といった支援が必要となります。

 その場合、高齢者は家族や介護スタッフの手を借りることによって、日常生活を送ることが可能になります。例えば、まったく病歴などを秘密にされてしまうと介護スタッフは手も足も出ないということになります。

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 最初に話したとおり、個人情報はみだりに公開されるべきではありません。ただ介護をするにあたって、知らないことで「利用者本人に不利益になる」ことは避けなければなりません。

 個人情報保護を強く意識しすぎて、利用者に関する情報収集に消極的になると、情報不足による問題が発生します。また逆に神経質に情報収集を行おうとすると、利用者や家族の方から、詮索しすぎというプライバシー問題になることもあります。

 本人や家族に聞きたい情報の「目的」を説明し、介護する側、される側どちらも納得した形でコミュニケーションをとっていきたいものです。

 

『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』について                                

 高齢者をめぐる契約に関する制度と成年後見制度についてトータルに解説した書。介護保険制度におけるサービスについては、モデル契約書を提示し、条文内容とポイントを詳説。消費者契約、金銭管理、介護保険以外の高齢者向けサービス契約、遺言等の各種契約に関して、具体的事例に基づいて解説。

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