自分が変われば、周りが変わる!
アサーション講座
「アサーティブネス(アサーション)=“自分の気持ちや要望を、率直に、誠実に、対等に伝えるコミュニケーション”」は、 お互いを尊重しあいながら率直にものが言える風通しのよい職場をつくるヒントです。 介護現場での事例を踏まえて、アサーティブなコミュニケーションの活用方法を解説します。
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第9回 相手を尊重しながら注意する(その1)
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組織の中では、仕事の指示の仕方がスタッフのモチベーションに大きな影響を与えます。率直に頼んだり、きちんと「ノー」と言ったりするだけではなく、相手を尊重しつつもダメなものは「ダメだ」と伝えることも大切なことです。
特に部下や新人スタッフの育成をするときには、職務態度をアサーティブに注意することが必要となります。
とはいっても、相手を尊重しながらも建設的に批判するということは、思った以上に難しいものです。
「相手が嫌な気持ちになるのでは」
「相手にはプライドもあるし、言い方によっては相手がそっぽを向いてしまう。 どんなタイミングで注意すればいいのだろう」
「思い切って言ったら相手が委縮してしまった。気を遣うと遠まわしになってしまう。 どうしたら率直にいうことができるのだろう」
現場のスタッフの方々からこんな悩みを多く聞きます。
今回、次回の2回にわたって、建設的な注意の仕方を考えていきましょう。
怒りでいっぱいの「ダメ」は伝わらない
現場の対応に追われて会議に遅れがちな後輩のAさん。あなたはこれまで何度か「遅れないでね」と優しく伝えていますが、今日もケース会議に30分遅れてきました。会議の後、Aさんをつかまえて、あなたは思い切って注意しました。
あなた: 「今日も待ってたけど、何をしてたの?」
Aさん: 「すみません、利用者さんに呼び止められて・・・」
あなた: 「大事な会議だって知っているよね。遅れるならちゃんと連絡してって言ってたでしょ。
どっちが大事かわかってるの?」
Aさん: 「・・・すみません」
あなた: 「すみません、じゃないでしょ。これで何度目だと思う?」
Aさん: 「・・・」
何度か優しく注意していても相手の行動が改まらないとき、思い切って言おうとした結果、こんな風に一方的に叱ってしまったことはないでしょうか。自分のイライラをため込んだ挙句に怒りをぶちまけてしまっては、本当に伝えたいメッセージは届いていきません。相手は自分が責められたと思って、心の扉を閉ざしてしまいます。
相手という「人」ではなくて「起こっている本当の問題」を提示する
注意する目的は何でしょうか。
相手に非を認めさせるとか自分の正当性を証明することではなく、起こっている問題を話し合って一緒に解決していく、ということですね。
この場合の「問題」とは何でしょうか。実はみなさんが間違えるのはこの部分です。
「Aさんがしょっちゅう会議に遅れてくる」
「自分勝手に判断して動きすぎる」
というように、「相手」が問題だとすると、最初から責め口調になります。残念ながらこれは「具体的な問題点」ではありません。すべてこちらの主観的な見解です。
問題を提示するときのポイントには2つあります。
1つは、客観的・具体的な事実を述べることです。
「Aさんが対応に追われて会議に遅れてくることが、月に1、2回ある」
これくらいの具体的な事実を述べます。
2つ目は、実際に起きている組織上の不利益を明確にすることです。
この場合は、「会議の終了時間が押してしまい、次の相談業務に支障が生じている」ということです。
「相手が悪い」というところから離れて、具体的に、そしてお互いが合意できる本当の問題点を提示することが、相手を注意するときの出発点となることを覚えておいてください。
