自分が変われば、周りが変わる!

アサーション講座

 
著者        
 

morita1.jpg森田 汐生(もりた しおむ)         

 

「アサーティブネス(アサーション)=“自分の気持ちや要望を、率直に、誠実に、対等に伝えるコミュニケーション”」は、 お互いを尊重しあいながら率直にものが言える風通しのよい職場をつくるヒントです。 介護現場での事例を踏まえて、アサーティブなコミュニケーションの活用方法を解説します。

 

 

最終回 自己信頼を築く

 

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 これまで11回にわたり、具体的な場面でのアサーティブな表現方法についてご説明をしてきました。方法が少しわかってくると、実際に伝えてみようと思う方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、思い切って言ってみたら、

   思いもかけない反応が相手から返ってきて凹んでしまった

   伝えたつもりだけどやっぱり遠まわしになっている

など、 「簡単にはできないな」 と感じることもあるかもしれません。  

 アサーティブな方法を用いて職場や家庭の人間関係を変えていくためには、「たとえここでうまくいかなくても私は大丈夫」という自信がなくてはなりません。  

 自信を持っていることを、アサーティブネスでは 「自己信頼がある」 と言います。

 

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 自己信頼とは、ありのままの自分を受け入れられることです。たとえ挫折や失敗をしても、拒絶にあっても、凹んでも、そんな自分を受け入れて大切にしたいと思えることです。つらい時に無理に我慢するのではなく、誰かに相談して助けを求めることができること。疲れたら休みをとり、強くなれない自分でも許してあげることです。  

 アサーティブな態度で人間関係に対処できるようになるためにも、長期的に自己信頼を築いていきましょう。その方法をいくつかご紹介します。

 

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 うまくいかないことが続くと自己信頼のレベルも下がり、自分を嫌いになったり責めたくなったりします。でも、自己信頼が常に100%ある人などいません。自己信頼のレベルは、常に上がったり下がったりするものです。要は、自己信頼が揺らぐようなできごとに直面した時、どういう手当をするか、なのです。  

 大きな落ち込みになる前に小さなリセットをかけて、自分に優しくしてあげましょう。いざという時の備えとして、いくつか方法を考えてみるといいかもしれません。 

 自分に花を買ってあげる、友達とおいしいものを食べに行く、スポーツジムで汗を流す、一人で泣ける映画に行く、など。

 あなたには、どんな方法がありますか。

 

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 一人で抱え込まないで、しんどくなったら早めに相談することは、自己信頼を保つための大事な手段です。相談できる人間関係を日ごろから作っておきましょう。 そうすれば、思いもかけないことで足元をすくわれても、大きな失敗をしてどん底に落ち込んでも、必ず人の力を借りてはい上がることができるのです。

 弱さもいたらなさもすべてひっくるめた自分自身に、「それでよし!」と言えるような人間関係をもっておくことが、長い目でみて自己信頼にあふれた生き方、アサーティブな力を支えてくれると思います。

 

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 自己信頼の築いていくために、3つの力をつけましょう。

 1つは、「感じる力」です。

 気持ちにふたをしないで、わきおこる感情を受け止める力のことです。今日はうれしいのか、悲しいのか、腹が立っているのか、疲れているのか、期待していたのか、困っていたのか。そんな自分の心の状態を受け入れることのできる力です。

 2つ目は、「考える力」です。

 自分が感じたままにふるまうのではなく、「私はこう感じているけれど、それをどう表現したらいいだろうか」「攻撃的にならないで伝えるにはどうしたらいいだろうか」と考えられることです。これは「選択する力」でもあります。

 3つ目は、「行動する力」です。

自分が直面している問題に取り組むために、実際に言葉にして相手に伝えたり、自分の態度を勇気をもって変える力のことです。問題解決へ向けて行動を起こすには勇気がいりますが、自分の内から外へ向かうこの力は、とても大切な力です。

 

 人間関係はすぐには変わりません。長い目で自分を大切にすること、相手を尊重すること、あきらめず粘り強く問題解決に向き合っていくことが、アサーティブな人間関係を生み出していくことにつながるでしょう。

 皆様一人ひとりが、自分の仕事に誇りをもち、人間への愛情と信頼、希望をもってこれからもいい仕事をしていけますように。心から、エールを送ります。

 

 

 

第1回 アサーティブネス(アサーション)とは?

第2回 自分のコミュニケーションパターンを知っていますか?

第3回 率直に頼む・依頼する

第4回 きっぱりと「NO」と言う

第5回 ほめ上手・ほめられ上手になる

第6回  アサーティブであるための心構え

第7回  批判された時の対処

第8回  批判の言葉の受け止め方

第9回  相手を尊重しながら注意する(その1)

第10回  相手を尊重しながら注意する(その2)

第11回  私たちには自己表現する「権利」がある

 

 

略歴                                                           
 
特定非営利活動法人アサーティブジャパン 代表理事。
岡山県生まれ。一橋大学社会学部卒業。大学在学中にデンマークへ留学し、その後イギリス滞在中に
アサーティブネスに出会う。大学卒業後、日本社会事業大学研究科で社会福祉士の資格を取得。
1991~94年、イギリスの地域精神医療団体でソーシャルワーカーとして勤務した。
その間イギリスでトレーナー養成講座を受け、アサーティブネス・トレーナーの資格を取得。
帰国後、1995年より国内でアサーティブトレーニングの講座を開始、2004年にアサーティブジャパン
としてNPO法人化した。全国各地で、アサーティブネスに関する講演・研修を多数実施している。
 
【主な著書】
『気持ちが伝わる話しかた』主婦の友社、2009年
『支援者のためのアサーティブコミュニケーション』アサーティブジャパン編、2009年
 
アサーティブジャパンHP  http://www.assertive.org/