介護リーダーが知っておきたい!

ストレスマネジメントの基本的対応                

                                             

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                                                                  小野寺 敦志
 
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 近年、介護職は「感情労働」に分類されるようになってきました。感情労働におけるストレスは自分自身の感情を押し殺すストレス。メンタルヘルス不全につながりやすいといわれていますが、介護職のメンタルヘルス不全は個人の問題にとどまることなく、利用者に対する不適切なケアに発展する可能性も含まれています。

 そこで本コラムでは、介護という職場・職業の特殊性を踏まえつつ、ストレス耐性の強い組織になるため介護リーダーが果たすべき役割についてお伝えしていきます。

 第7回 介護リーダーの役割は、保健スタッフと職員の「橋渡し」

 
ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像事業場内の保健スタッフは、業種と事業場の規模で決まる!

(1)介護施設に必要な事業場内の保健スタッフとは?

 事業場内における保健スタッフ等とは、第一に、法律(労働安全衛生法)によって定められている「安全管理者」「衛生管理者」「安全衛生推進者」「衛生推進者」「産業医」があげられます。

 その事業所に、どの役割の人が必要になるかは、業種と事業場の規模によって異なります。

 介護保険施設の場合は、このうちの「衛生管理者」(職員が50人以上の事業場)もしくは「衛生推進者」(職員が10人以上50人未満の事業場)が必要です。

 産業医は、常時50人以上の労働者を使用する事業場が選任することになっています。つまり、職員が50名以上いる介護保険施設は、産業医が必要になります。

(2)事業場内の保健スタッフは「メンタルヘルス4つのケア」の推進者

 では、介護保険施設の場合、「衛生管理者」もしくは「衛生推進者」は、誰が担っているのでしょう。

 一番に多い職種は看護師です。ついで施設の管理職レベルの役職者があげられます。彼らは、本コラムの第1回で述べた「メンタルヘルスの4つのケア」を推進していくことが求められます。

 しかし、現状は、年1回の職員の健康診断の担当を行うだけという場合もあり、施設によっては十分に機能していない場合もあります。

(3)特養の約4割の職員が「衛生管理者」を知らない?

 以前、東京都下の介護老人福祉施設を対象とした調査で、衛生管理者等と産業医を職員がどれだけ知っているかを尋ねた結果、知っているという回答は、衛生管理者等が61%、産業医が48%でした。衛生管理者等はすべての事業所にいるのに、約4割の職員はその存在を知らないという結果でした。

 

ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像介護リーダーの役割は、保健スタッフと職員の「橋渡し」

 衛生管理者等の保健スタッフは、その事業所のメンタルヘルス対策を先頭に立って推し進めていく役割の人です。東京都下の介護老人福祉施設によっては、非常勤で臨床心理士を採用し、職員への心理相談を実施するなど積極的に取り組んでいる事業所もあります。

 このように、本来は、保健スタッフが十分に機能していることが前提になりますが、介護リーダーが彼らと連携をとっていくためには、次の3つの役割が求められます。

【介護リーダーに求められる役割】

1.施設にいる保健スタッフが誰であり、どういう仕事をしているのかを把握しておくこと。

2.保健スタッフと常日ごろコミュニケーションを取り、いつでも相談や助言を求めることができる関係をつくっておくこと。

3.同時に、部下である職員に、保健スタッフの役割を周知し、職員が保健スタッフを利用しやすい環境を整えること。

 

 介護リーダーが、自分の部下の状況を把握し、定期的に面接を行うことは必要です。しかし、その職員の抱えるメンタルヘルスに関連する問題によっては、介護リーダーではなく別の人が相談を受ける方がよいこともあります。そのためにも、介護リーダーは、職員が施設内の資源を利用しやすい環境を整えることが必要です。

 以上のように、保健スタッフと介護職員の橋渡しをすることが介護リーダーの役割といえます。

 次回は、事業場外資源によるケアとリーダーの役割についてお話をします。

 

第1回 介護職のストレス対策を考える
第2回 ストレスを理解して、職員のストレス・コーピングを高める支援を!①
第3回 ストレスを理解して、職員のストレス・コーピングを高める支援を!②
第4回 介護現場の環境調整から、職員のストレス軽減を支援する!①
第5回 介護現場の環境調整から、職員のストレス軽減を支援する!②
第6回 問題を抱える職員には個別ケアを!
第8回 介護リーダーが一人で対応するには「限界」がある!~「事業場外資源」活用のススメ~
■第9回 自分自身のメンタルヘルスを考える~介護リーダーが燃え尽きないために~
最終回 ストレスを「知り」、「自覚」することがセルフケアの第一歩!
 

 

参考文献                                             

(1)「社会福祉学習双書」編集委員会、第3章第2節ストレス『心理学―心理学理論と心理的支援 社会福祉学習双書2010』全国社会福祉協議会、2010年 

(2)「平成20年度『特養に従事する介護職員のストレスなど精神的負担感に関する調査』調査結果報告書」社会福祉法人東京都社会福祉協議会、2009年3月

略歴                                                

国際医療福祉大学大学院准教授。特別養護老人ホーム(生活指導員)、大学病院神経精神科(臨床心理士)、認知症介護研究・研修東京センター勤務を経て、平成21年4月より現職。精神保健福祉士、介護支援専門員。
 
大学病院時代に、一般精神科臨床の傍ら、痴呆(現在の認知症)デイケアに従事。主たる研究は、認知症高齢者のアセスメント、家族支援等。センター時代の主たる研究は、介護職員のストレス、介護人材育成のOJTの方法についてなど。現在は、臨床心理士養成の大学院で教員をつとめる。
 
主な著書(分担執筆)
 
■藤田和弘監修 山中克夫、飯島節、小野寺敦志、下垣光、高橋正雄、松田修編『認知症高齢者の心にふれるテクニックとエビデンス』紫峰図書、2006年
 
■小野寺敦志編著『基礎から学ぶ介護シリーズ 事例で学ぶ新しい認知症介護』中央法規出版、2008年
 
ストレスに関連する原著
 
■畦地良平、小野寺敦志、遠藤忠(2006)「介護職員の主観的ストレスに影響を与える要因―職場特性を中心とした検討―」老年社会科学、27:427-437.
 
■小野寺敦志、畦地良平、志村ゆず(2007)「高齢者介護職員のストレッサーとバーンアウトの関連」老年社会科学、28(4):464-475.