介護リーダーが知っておきたい!

     ストレスマネジメントの基本的対応                

                                               

著 者   

                                               小野寺 敦志
 

 

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 近年、介護職は「感情労働」に分類されるようになってきました。感情労働におけるストレスは自分自身の感情を押し殺すストレス。メンタルヘルス不全につながりやすいといわれていますが、介護職のメンタルヘルス不全は個人の問題にとどまることなく、利用者に対する不適切なケアに発展する可能性も含まれています。

 そこで本コラムでは、介護という職場・職業の特殊性を踏まえつつ、ストレス耐性の強い組織になるため介護リーダーが果たすべき役割についてお伝えしていきます。

 

 

              第6回 問題を抱える職員には個別ケアを!

 

ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像問題を抱える職員には個別ケアが必要

 
 職員が抱えるメンタルヘルスの問題は、前回触れたような環境全体だけではなく、職員個別の問題もあります。職員全体で扱えない個別の問題には、介護リーダーがその職員に個別に関わることになります。
 
 問題を抱えている職員に対しては、積極的に面接を行うなどのアプローチが必要になります。そして、問題の内容によっては、組織の管理者やメンタルヘルスの専門職へバトンタッチする必要も生じます。
 
 では、普段の業務の中で、個別の問題を抱える職員をどのように把握し、ケアをしてゆけばいいのか、その方法について、ヒントとなることを以下に示します。
 
 

ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像介護リーダーが知っておきたい個別ケアの方法~4つのヒント~

 

①職員が意見を述べられる機会や方法をつくっておく。

 
 職員が不平や不満を溜め込むと、ストレスとなる場合があります。不平不満を含めて、自分の意見を述べられる機会や方法(意見箱など)をつくって活用することが求められます。
 その際には当然、発言した職員のプライバシーなどの人権が守られることを保障することが必要です。
 
②職員の家族などプライベートの情報を把握する。
 
 
 職員のストレス源(ストレッサー)は、職場内にだけあるとは限りません。家庭内の問題などプライベートな問題が職場に持ち込まれることも多々あります。
 これには個人情報保護の問題が関わりますが、介護リーダーとして、職員との信頼関係をつくるなかで、職員のプライベートな情報を把握しておくことが大切です。
 
③定期的に職員の表情や態度、身なりや習慣の変化を把握する。
 

ストレスがたまってくると、表情や態度(例:言葉遣いや作業の細やかさなど)の変化に表れます。時には身なり(例:服装や髪型、化粧など)や習慣(例:喫煙や飲酒の量など)にも表れます。常日頃、職員の様子を観察し、その変化に気づくようにしておくことが必要です。

 

④定期的な面接や面談の時間を設けて、継続して実施する。
 

 

 部下となる職員全員に、半期に1回なり、定期的にある程度の時間(最低15分から30分)を設けて、面接や面談を行います。この面接は、話題がなくても実施します。定期的に実施していくことで、介護リーダーと面接することが業務の一部になっていきます。それにより、介護リーダーに相談することの抵抗が減ります。

また、必要なときだけ面接を行うと、ほかの職員が何事かと気にする、当の職員が周りから変に思われないかと気にして相談しないという事態も生じます。面接や面談の時間を定期的に設けることで、このようなマイナス面を軽減することができます。

介護リーダー自身も定期的に話を聞いていることで、問題となる職員が現れたとき、面接を改めて設定することの抵抗が低くなるといえます。

 

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メンタルヘルスは、日頃の予防的取組みが大切

 

 メンタルヘルスの取組みの第一は、予防的取組みです。ストレスを抱えた職員が生じたときにだけ対応するのではなく、日々の中でストレスが生じないように、職員全体で不都合を改善する、ストレスが極度に達する前に、ストレスが高じた職員を見つけてケアをするという仕組みをつくっていくことが重要になります。

 

 
 
■第8回 介護リーダーが一人で対応するには「限界」がある!~「事業場外資源」活用のススメ~
■第9回 自分自身のメンタルヘルスを考える~介護リーダーが燃え尽きないために~
■最終回 ストレスを「知り」、「自覚」することがセルフケアの第一歩!
 

略歴                                                

 
 
国際医療福祉大学大学院準教授。特別養護老人ホーム(生活指導員)、大学病院神経精神科(臨床心理士)、認知症介護研究・研修東京センター勤務を経て、平成21年4月より現職。精神保健福祉士、介護支援専門員。
 
大学病院時代に、一般精神科臨床の傍ら、痴呆(現在の認知症)デイケアに従事。主たる研究は、認知症高齢者のアセスメント、家族支援等。センター時代の主たる研究は、介護職員のストレス、介護人材育成のOJTの方法についてなど。現在は、臨床心理士養成の大学院で教員をつとめる。
 
【主な著書(分担執筆)】
 
 
■藤田和弘監修 山中克夫、飯島節、小野寺敦志、下垣光、高橋正雄、松田修編『認知症高齢者の心にふれるテクニックとエビデンス』紫峰図書、2006年
 
■小野寺敦志編著『基礎から学ぶ介護シリーズ 事例で学ぶ新しい認知症介護』中央法規出版、2008年
 
【ストレスに関連する原著】
 
■畦地良平、小野寺敦志、遠藤忠(2006)「介護職員の主観的ストレスに影響を与える要因―職場特性を中心とした検討―」老年社会科学、27:427-437.
 
■小野寺敦志、畦地良平、志村ゆず(2007)「高齢者介護職員のストレッサーとバーンアウトの関連」老年社会科学、28(4):464-475.k