利用者の権利を守る法律知識

 
監修        
 

ひすい総合法律事務所 弁護士 原口 健(はらぐち けん)         

 

 高齢者の権利を守るために高齢者虐待防止法や成年後見制度などの法整備がなされています。ただ、法律が充実していても活用方法を押さえておかなければ、せっかくの法律も意味がありません。

 このコラムでは、利用者の権利を守る法律知識と題して、現場を任されるリーダーにも知っておいてほしい法律知識を解説していきます。より深い法律知識については、弊社書籍『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』でご覧いただけます。

 
第9回 消費者被害事例
”クーリング・オフ”具体的にどうすればいいの?~その2~
 

 

 前回に引き続き事例をベースとして、実際にクーリング・オフ書面の書き方を紹介していきたいと思います。今回はクーリング・オフ期間を過ぎてしまったときの通知書の例を紹介します。

【事例のおさらい】

 私は訪問介護のスタッフです。訪問介護先の利用者(▲●A子さん)は、自宅で一人暮らしをしています。先日いつものように利用者宅を訪問したところ、見慣れない健康器具(商品名:楽ちん健康XX、18万円)が玄関においてあることに気づきました。聞いてみると、2週間前に、近隣の人達と一緒に近所の■▲集会所に集められて、すばらしい効能があるというセールストークに乗せられて契約してしまったときのものだということです。

●CASE2 クーリング・オフ期間を過ぎてしまったとき

 クーリング・オフ期間をすぎてしまっても、①契約書面がないとき、②契約書面に記載漏れがあったとき、③契約書面にクーリング・オフ条項がないときについてもクーリング・オフが利用できましたね。

クーリング・オフ期間を過ぎてしまっていたとしても、一度確認してみましょう。

<通知書②>

 通知書

 

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目○番○号

①株式会社●▲健康器具販売御中

②担当者 甲野太郎 様

 私は、去る③平成〇〇年〇〇月〇〇日に■▲集会所で、価格18万円⑤楽ちん健康XX購入契約を結びましたが、依然として契約書面を受領しておりませんのでクーリング・オフ期間内である本日、この契約を解除させて頂きます。つきましては、支払い済みの18万円を返金してください。また、商品の引き取りをお願いします。

                          ⑥平成〇〇年〇〇月〇〇日

                          ⑦〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目○番○号  ▲●A子 印

 基本的には前回コラムで紹介した<通知書①>の要素と重なります。今回はクーリング・オフ期間経過後の通知書になりますので、期間経過後でもクーリング・オフが適用できる旨を記載する必要があります。

 

【通知書を郵送するときのポイント】

上記のような内容の通知書を作成したら、販売会社に送付しましょう。(クレジット契約の場合には、販売会社とクレジット会社へ通知書を送る必要があります)

 はがきの場合は、両面コピーをとった上で、特定記録郵便や簡易書留で送付してください。また書面の場合は、内容証明郵便で送付しましょう。

 少しお金はかかりますが、こういった第三者(他人の目)にわかる記録を残すことで、クーリング・オフをした証拠を残すことができます。

 もちろん、今回の通知書は一例ですので個々の契約で文章は異なります。実際に通知書を書くときには、前回のコラムでお話したような、クーリング・オフできる条件を知っておくことが重要になるのです。「一人では少し不安だなぁ」というときは、消費生活センター等に相談するが良いと思います。

 介護職のみなさんは、今回のような事例に遭遇したとき、被害を知り、対処方法に「気づける」ことが大事になります。

 

『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』について                                

 高齢者をめぐる契約に関する制度と成年後見制度についてトータルに解説した書。介護保険制度におけるサービスについては、モデル契約書を提示し、条文内容とポイントを詳説。消費者契約、金銭管理、介護保険以外の高齢者向けサービス契約、遺言等の各種契約に関して、具体的事例に基づいて解説。

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