介護リーダーが知っておきたい!
ストレスマネジメントの基本的対応
今回は、メンタルヘルスの4つの方法の「ラインによるケア」を取り上げ、介護の職場環境でリーダーが把握するべき点について考えていきます。
ラインとは、仕事上の管理系統や組織の上下の部門を示します。ラインによるケアとは、仕事上の管理監督者が、その下の者のメンタルヘルスをケアすることです。
これを介護現場に当てはめると、従来型の入所施設であればフロアが、ユニット型であれば1ユニットが、在宅ならばデイサービスがラインとしての部門になり、それぞれのリーダーが管理監督者となります。
ラインによるケアの内容には、大きく二つのケアがあげられます。一つは「職場環境の把握と調整」、もう一つは「部下への個別のケア」です。
(1)介護現場がもつ二重の意味合い
一つめの「職場環境の把握と調整」を考える前に、介護職員が働く職場環境について考えてみましょう。
介護職員の職場は、介護現場です。介護現場とは、介護職員の働く場所であると同時に、高齢者の生活の場所、もしくは日々の生活の大半を過ごす場所でもあります。つまり、入所施設であれば高齢者の住まいです。デイサービスの場合は、日中を過ごす生活の延長の場です。訪問サービスでは、利用者の生活の場所である自宅に訪問してのサービス提供となります。
つまり介護現場は、職員にとっては一定時間を過ごす働く場であっても、高齢者にとっては毎日を過ごす生活の場であるという、二重の意味合いをもっています。その環境で職員がストレスを抱えて仕事をすれば、その態度や振る舞いは、高齢者の生活に直接、悪影響を与えます。このことを、介護リーダーは理解しておくことが不可欠です。
(2)職場環境で介護リーダーが把握すべきこととは?
では、職場環境を把握するには、どのような点に留意すればよいのでしょう。その主要な項目を表1に示しました。
表1 職場内の環境の把握すべき項目
出典:小野寺敦志「第5章第1節 リーダーとしてのストレスマネジメント」 『介護現場のためのストレスマネジメント支援テキスト』認知症介護研究・研修仙台センター発行、p31、2009年
表中のコメントはおもに、入所サービスを念頭に記されています。管理監督者である介護リーダーは、自分の部下が働く職場(つまり、フロアやユニットなど)について、ハード面だけではなく、ソフト面を含めて把握していくことが求められます。
まずは職場の現状を把握することで、現在、職場内で問題になっていることが明らかとなります。そして明らかとなった問題を整理することで、必要とされる調整内容が理解でき、メンタルヘルス対策を講じることができるのです。
次回は、環境調整の内容・方法と、部下への個別のケアについて詳しくお話していきます。
略歴
国際医療福祉大学大学院准教授。特別養護老人ホーム(生活指導員)、大学病院神経精神科(臨床心理士)、認知症介護研究・研修東京センター勤務を経て、平成21年4月より現職。精神保健福祉士、介護支援専門員。
大学病院時代に、一般精神科臨床の傍ら、痴呆(現在の認知症)デイケアに従事。主たる研究は、認知症高齢者のアセスメント、家族支援等。センター時代の主たる研究は、介護職員のストレス、介護人材育成のOJTの方法についてなど。現在は、臨床心理士養成の大学院で教員をつとめる。
【主な著書(分担執筆)】
■藤田和弘監修 山中克夫、飯島節、小野寺敦志、下垣光、高橋正雄、松田修編『認知症高齢者の心にふれるテクニックとエビデンス』紫峰図書、2006年
■小野寺敦志編著『基礎から学ぶ介護シリーズ 事例で学ぶ新しい認知症介護』中央法規出版、2008年
【ストレスに関連する原著】
■畦地良平、小野寺敦志、遠藤忠(2006)「介護職員の主観的ストレスに影響を与える要因―職場特性を中心とした検討―」老年社会科学、27:427-437.
■小野寺敦志、畦地良平、志村ゆず(2007)「高齢者介護職員のストレッサーとバーンアウトの関連」老年社会科学、28(4):464-475.