利用者の権利を守る法律知識
高齢者の権利を守るために高齢者虐待防止法や成年後見制度などの法整備がなされています。ただ、法律が充実していても活用方法を押さえておかなければ、せっかくの法律も意味がありません。
このコラムでは、利用者の権利を守る法律知識と題して、現場を任されるリーダーにも知っておいてほしい法律知識を解説していきます。より深い法律知識については、弊社書籍『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』でご覧いただけます。
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第15回 「あなたと私のここだけの秘密ね」の扱い方
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今回は、具体的な事例にそってプライバシー保護について考えていきたいと思います。利用者と介護スタッフとの会話の中で知り得た情報の扱い方がテーマになります。
【事例】
デイサービスを利用するA子さんは、サービス利用期間に「親族は娘が一人だけだ」と話していたが、ある日、介護スタッフBに「実は、もう一人息子いるの。さんざん親不孝をしてついに家を飛び出し、音信不通になっていたが、先日娘から息子の所に子どもが生まれたと聞いたの」と嬉しそうに話してくれました。しかし、A子さんは「そんなわけだから、息子の話をしていなかったの。あなただけの秘密にしておいてね」と付け加えられた。
この情報をもとに、介護スタッフBは利用者台帳の親族欄に息子と孫の存在を記入した。それをみた介護スタッフCが「A子さん、お孫さんが生まれたらしいですね。おめでとうございます」とつい言ってしまった。それ以来A子さんは、誰とも口をきかなくなってしまいました。
何が問題だったのか?
介護スタッフBが、すみやかに台帳整理を行ったこと自体については、必要なことであり、評価すべき点といえます。しかし事例のような状況で、息子と利用者の関係や「ここだけの秘密にして」といった利用者の心理状態にどこまで配慮できていたかが、問題になります。
また、台帳が更新された内容を見て、何のためらいもなく介護スタッフCがその情報をA子さんに話してしまったことで、A子さんは心を閉ざしてしまったのです。
とるべきだった対応
もし介護スタッフBが、A子さんに「おめでたい話なので、他のスタッフにもお話ししたいわ」とか「A子さんの台帳にお孫さんのことも書いて良いですか?」というように確認していたら、トラブルにはならなかったかもしれません。
また、このようなトラブルを防止するためには、Bが台帳を更新したときに、目立つように「Bにだけ打ち明けている」旨の記載をしておく配慮がチームアプローチとして必要だったのです。
利用者としては、職員や他の利用者も差別化して生活することによって、自分の存在を示すという行為も多く見受けられます。今回のような事例は、「心を許していたBにだから話したのに…」ということを、第三者として認識している別のスタッフCに知られてしまうことによって、A子さんにとっては、プライバシーの侵害になってしまったといえます。
『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』について
高齢者をめぐる契約に関する制度と成年後見制度についてトータルに解説した書。介護保険制度におけるサービスについては、モデル契約書を提示し、条文内容とポイントを詳説。消費者契約、金銭管理、介護保険以外の高齢者向けサービス契約、遺言等の各種契約に関して、具体的事例に基づいて解説。
◆詳細についてはコチラ
- 第1回 成年後見制度について①~成年後見の制度について~
- 第2回 成年後見制度について②~法定後見制度を利用するときの流れ~
- 第3回 身寄りのない高齢者のための後見制度
- 第4回 成年後見事例:有料老人ホーム入所後の財産管理はどうすれば良いのだろう?
- 第5回 高齢者をねらった悪質商法の種類
- 第6回 悪質商法の被害にあってしまったら
- 第7回 消費者被害事例:高額の健康器具を買わされてしまったら?
- 第8回 ”クーリング・オフ”具体的にどうすればいいの?~その1~
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