利用者の権利を守る法律知識
高齢者の権利を守るために高齢者虐待防止法や成年後見制度などの法整備がなされています。ただ、法律が充実していても活用方法を押さえておかなければ、せっかくの法律も意味がありません。
このコラムでは、利用者の権利を守る法律知識と題して、現場を任されるリーダーにも知っておいてほしい法律知識を解説していきます。より深い法律知識については、弊社書籍『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』でご覧いただけます。
|
第11回 個人情報の取扱いはどうしたらよい?~紙の場合~
|
個人情報の取扱いは、コピー機が普及していない時代では、情報量も少なく、ファイルを鍵のついた棚へしまっておけば、それで十分でした。しかし、コピー機の普及、さらにパソコンの普及により、個人情報を紙ではなくデータで管理するようになった今、個人情報流出事故は拡大の一途をたどっています。今回と次回のコラムで、紙で管理する場合とパソコンで管理する場合についての留意点をまとめていきます。
紙で個人情報を管理する
紙による留意点は、前述のように施錠による書庫保管と廃棄時にシュレッダーにかけることで、基本的な安全は確保できます。ただし、ファクシミリ使用時の誤送信や、経費節減になるようコピー用紙の裏面活用をしたときに個人情報が裏面に残ったままであったという場合もあるので注意が必要です。
また、電話対応時のメモをそのままゴミ箱に捨ててしまい、ごみ集積場でカラスに荒らされて第三者に見られてしまうという事故も発生しています。
このようなことから、個人情報の管理という概念は、単純に保管を確実にするだけでは済まされないものといえます。業務上の使用場面や自分の手元を離れた後まで安全確保に努めることを意識する必要があります。
個人情報の漏えいについては、圧倒的に人的ミスが原因とされています。「ついうっかり」では取り返しのつかないものです。介護リーダーのみなさんは、職場スタッフへの意識づけをお願いします。
次回コラムの前に
次回は、パソコンで個人情報を管理する際の留意点についてお話したいと思いますが、その際、念頭に置いていただきたいのは情報管理者の設置です。パソコン知識を有する人を置くことで、施設内のコンピュータ運営が円滑になります。
情報管理者って何をするの?
施設内のコンピュータ運用をするのが情報管理者の仕事ですが、具体的には以下の3つです。
①パソコンの設定
情報管理者が業務上使用するソフトウエアを特定し、他のプログラムなどをインストールできないようにします。アドミニストレータ(パソコンの管理者)権限のログインパスワードを情報管理者が所有し、使用者が無断で個々に設定変更できないようにしておく必要があります。
同様に職場スタッフ側も、パソコンを起動させるときのパスワード設定を行い、数分間席を離れる場合はパスワード付きのスクリーンセーバーがかかるように設定します。
②アンチウイルスソフトの設定
インターネットやメールを経由したウイルスソフトの侵入を防止するために、信頼できるアンチウイルスソフトを施設内のすべてのパソコンに導入し、自動更新設定を行いましょう。
③モラルの遵守
インターネットの接続などはアクセス制限をすることが可能ですが、利用者のモラルを向上させるには情報管理者の働きかけが必要になります。情報管理者は、フィッシングやワーム(パソコン内で増殖を繰り返すコンピュータウイルス)等の被害を避けるために、業務上必要でないサイトには接続しないよう、職場スタッフに呼びかけましょう。
『高齢者の権利擁護-制度と契約の実務-』について
高齢者をめぐる契約に関する制度と成年後見制度についてトータルに解説した書。介護保険制度におけるサービスについては、モデル契約書を提示し、条文内容とポイントを詳説。消費者契約、金銭管理、介護保険以外の高齢者向けサービス契約、遺言等の各種契約に関して、具体的事例に基づいて解説。
◆詳細についてはコチラ
- 第1回 成年後見制度について①~成年後見の制度について~
- 第2回 成年後見制度について②~法定後見制度を利用するときの流れ~
- 第3回 身寄りのない高齢者のための後見制度
- 第4回 成年後見事例:有料老人ホーム入所後の財産管理はどうすれば良いのだろう?
- 第5回 高齢者をねらった悪質商法の種類
- 第6回 悪質商法の被害にあってしまったら
- 第7回 消費者被害事例:高額の健康器具を買わされてしまったら?
- 第8回 ”クーリング・オフ”具体的にどうすればいいの?~その1~
- 第9回 ”クーリング・オフ”具体的にどうすればいいの?~その2~
- 第10回 個人情報ってどこまでの情報をさすの?
- 第11回 個人情報の扱いはどうしたらよい?~紙の場合~
- 第12回 個人情報の取扱いはどうしたらよい?~パソコンで管理する~
- 第13回 個人情報の取扱いはどうしたらよい?~パソコンのデータを廃棄する~
- 第14回 立場が変わればプライバシーの捉え方も変わる
- 第15回 「あなたと私のここだけの秘密ね」の扱い方