介護リーダーが知っておきたい!

     ストレスマネジメントの基本的対応                

                                              

著 者   

                                              小野寺 敦志
 

 

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近年、介護職は「感情労働」に分類されるようになってきました。感情労働におけるストレスは自分自身の感情を押し殺すストレス。メンタルヘルス不全につながりやすいといわれていますが、介護職のメンタルヘルス不全は個人の問題にとどまることなく、利用者に対する不適切なケアに発展する可能性も含まれています。

そこで本コラムでは、介護という職場・職業の特殊性を踏まえつつ、ストレス耐性の強い組織になるため介護リーダーが果たすべき役割についてお伝えしていきます。

 

   第10回 ストレスを「知り」、「自覚」することがセルフケアの第一歩!   

 
 最終回の今回は、介護リーダーとしてのスタイルについてお話します。
 

ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像介護リーダーとしての自分のスタイルを自覚し、指導方法を考える

 
 自分はどのようなリーダーシップを取っているのか、そのことに自分自身、気がつくことが大切です。では、介護リーダーとしてのリーダーシップのスタイルとはどういうものでしょう。次の表に代表的なリーダーのタイプを示しました。
 

                 表1 リーダースタイルの6つのタイプ

カリスマ型リーダー

部下からの絶対的な信頼、強いリーダーシップ、改革者、明快な助言、強い指導力が特徴

目的達成型リーダー

組織のビジョンや将来計画を示す、目標達成のための知識や情報・新しい考え方を示す、適切な仕事の分配、組織変革、慣習や慣行にとらわれない課題焦点型の行動が特徴

民主型リーダー

チームの決定は常にスタッフの意見を求め、仕事の進め方は権限委譲し、指示や命令は同意を基本とし説得や話し合いを行ったり、重要な決定にスタッフを参加させたり、スタッフを公平に扱うのが特徴

計画管理型リーダー

スタッフの仕事やスケジュール、分担などを綿密に決定し、仕事の目標や手順について明確な指示や命令を与え、就業規則やノルマ、ルールを遵守しているかを監視し、厳格に評価するのが特徴

強制管理型リーダー

働きの悪いスタッフに対して仕事の方法を改善するよう指示したり、注意、叱責したり、スタッフから要請や相談が無いと指示や指導はしないのが特徴

報酬管理型リーダー

働きの良いスタッフには褒賞や昇進の機会を与えたり、日頃からそのことを強調したり、働きの悪いスタッフを仕事からはずしたり、配置転換をすることが特徴

出典:松本真作ほか「雇用管理業務支援のための尺度・チェックリストの開発 -HRM(Human  resource management)チェックリスト-」日本労働研究機構調査研究報告書 NO.124(1999.3)

 
 各タイプにはメリットとデメリットがあります。自分がどのタイプに当てはまるかを考え、メリットは伸ばし、デメリットは解消していく取組みをすることが求められます。そして、この取組みは、固定したリーダースタイルから抜け出すことを意味します。いい意味で柔軟に部下に接し、ケアを進めていくことが必要です。
 

ぷらすクローバー画像のサムネール画像のサムネール画像ストレスを「知り」、「自覚」することがセルフケアの第一歩

 

 

以上のように、介護リーダーという立場によるストレスがあります。介護リーダーのセルフケアの第一は、自分に生じるであろうこれらのストレスを知り、自覚していくことです。

 

 

 自身のメンタルヘルスに努めることは、自分を大事にすることです。自分を大事にできるということは、部下を大事にし、利用者の生活を大事にすることにつながります。
 
 言い換えれば、自分を省みず、自分を大事にできない人は、部下も利用者の生活も大事にできない人です。それでは、介護現場、つまり利用者の生活環境が荒んでしまいます。そうならないためにも、自分のストレスをセルフケアして、よりよい介護を目指してほしいと思います。
 
 今回でこのコラムの連載を終了します。ご愛読ありがとうございました。

 

 
 
 

参考文献                                             

『介護現場のためのストレスマネジメント支援テキスト』認知症介護研究・研修仙台センター発行、p38-47、2009年

略歴                                                

 
国際医療福祉大学大学院準教授。特別養護老人ホーム(生活指導員)、大学病院神経精神科(臨床心理士)、認知症介護研究・研修東京センター勤務を経て、平成21年4月より現職。精神保健福祉士、介護支援専門員。
 
大学病院時代に、一般精神科臨床の傍ら、痴呆(現在の認知症)デイケアに従事。主たる研究は、認知症高齢者のアセスメント、家族支援等。センター時代の主たる研究は、介護職員のストレス、介護人材育成のOJTの方法についてなど。現在は、臨床心理士養成の大学院で教員をつとめる。
 
【主な著書(分担執筆)】
 
■藤田和弘監修 山中克夫、飯島節、小野寺敦志、下垣光、高橋正雄、松田修編『認知症高齢者の心にふれるテクニックとエビデンス』紫峰図書、2006年
 
■小野寺敦志編著『基礎から学ぶ介護シリーズ 事例で学ぶ新しい認知症介護』中央法規出版、2008年
 
【ストレスに関連する原著】
 
■畦地良平、小野寺敦志、遠藤忠(2006)「介護職員の主観的ストレスに影響を与える要因―職場特性を中心とした検討―」老年社会科学、27:427-437.
 
■小野寺敦志、畦地良平、志村ゆず(2007)「高齢者介護職員のストレッサーとバーンアウトの関連」老年社会科学、28(4):464-475.